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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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その他の地域2022/02/08

【街の灯Talk21#1】コロナ禍の難民申請者に必要な支援⑥


続く支援のニーズ、注目して欲しい入管法

井上 コロナ禍が長引いている中で、今後の見通しはいかがでしょうか。相談にいらっしゃる方がいるので支援のニーズは続くと思いますが。

松田 難民の方々との日々の関わりの中で、彼ら彼女から問いを投げかけられていると感じています。私たちがどんな社会を作っていくのかということを、常に考えさせられています。同じ社会に生きているにもかかわらず、彼ら彼女らのことを知らない人、無関心の人は多く、時には外国人に対して極めて冷酷な対応をされる方がいるのも事実です。新型コロナウイルスのこともあって、様々な不安や寂しさを感じました。難民申請者の方々は新型コロナウイルスが広がる前から、このような感情を持っていらっしゃったと思います。言葉も文化もわからないところで、法的地位など様々なことが不安定で、いつこの状況が終わるか分からないというのが、難民申請者の日常です。新型コロナが終息したときに、難民申請者をはじめとする様々な困難を抱えている人たちとどう向き合えているのかが問われていると思います。
 難民として認定されるのがゴールというわけではありません。送還の恐怖から逃れて安定した在留資格を得て、ようやく自らの人生のスタートラインにたてたということで、それでも家族が目の前で殺されたとか拷問や性暴力という辛いトラウマ体験を抱えている方もいらっしゃいます。
 難民の存在が遠く感じるかもしれませんが、実は身近にも難民申請をしている方がいるかもしれないことを知ってもらいたいです。様々な悲惨な経験を背負っていて、自分を否定されてきたことも多く、信頼関係を構築することにも慎重になる方、難しい方も多くいらっしゃいます。そういう方がいることも知って欲しいです。
 最後に2021年の2月に入管法改正案が国会に提出され、私たちも意見書を出すなどしました。今回は取り下げになり、法案は成立しませんでしたが、今後の動きにはみなさんにも注目してもらいたいです。私たちは、「#難民の送還ではなく保護を」というキャンペーンを行いました。それには多くの方からリツイートやいいね!や力強いメッセージもいただき、サポートしてもらいました。今後の国会においても、同じような法案が再提出される可能性はあります。引き続き、難民支援協会からも情報を発信していきますので、みなさんにもこの法案には注視していただければありがたいです。(了)


○○○質疑応答から○○○

■個人的に難民申請者を支援しています。法律が絡んでいるので、難民条約上の定義に難民申請者ご自身が該当することを証明することに難しさを感じています。
松田 ご質問いただきありがとうございます。個別で難民申請者の方を支援されるのはとても大変なことかと思います。また、ご質問いただいたように、難民申請者の方が難民の定義に該当することを証明することは大変困難で、私たちも同様の難しさを感じております。
 日本政府(出入国在留管理庁)は、難民であることを証明するために難民本人が自ら証拠を集めなければならない(「立証責任」が難民に課されている)としています。難民であることを証明すること、つまり「立証の基準」が高いことが日本の特徴です。
 弊会では、難民の方に対して、可能な限りの証拠書類を本国から集めていただくよう依頼をしています。しかし、母国に残る家族に危害が及ぶことを心配し、証拠書類を全て焼却してから逃げる人もいます。国外に逃れるために無事、飛行機に乗ってもなお、到着先で上陸が許可されず、母国へ送還されることを恐れ、出身地や身分を隠すためにパスポートを破って飛行機のトイレに流してしまうという話もあります。難民の立場から考えれば、合理的な行動です。客観的な証拠を持ち出すことは多くの危険を伴いますが、日本ではそれらが非常に重視されていることが、難民不認定理由の数々から伺えます。
弊会が事務局を務める難民研究フォーラムでは、出身国情報(COI)の収集に取り組んでいます。出身国情報(COI)とは、難民の地位またはその他の国際的保護の形態に関する申立てを評価するための手続において利用される情報です。証拠資料を収集する際、下記のHPがお役に立つかと思います。
https://refugeestudies.jp/aboutcoi/
証拠書類に関する弊会のWeb記事も以下に添付いたします。ご参照ください。 https://www.refugee.or.jp/report/refugee/2017/06/japan_recog17/

■ある外国の方が鼻血が止まらないと言うことで夜間に病院に運ばれたところ、とんでもない額の請求を受けました。このような緊急時の対応で頼りにできる医療機関があれば教えていただけないでしょうか。もしくはJARでそういった方々をサポートする体制があれば教えてください。
松田 ご質問いただきありがとうございます。難民の方々の状況、ご理解いただける医師がいらっしゃることは、弊会としても大変心強く思います。 緊急時にすぐに対応してくれる病院は、弊会でも把握できておりません。緊急対応の場合は、難民の方が住んでいる周辺の病院や普段お世話になっている病院のソーシャルワーカーに相談するなどの対応をしております。また、ケースバイケースではありますが、無料低額診療事業を実施している病院のソーシャルワーカーと連携して、難民の方々に医療を提供しております。全ての希求にお応えできるわけではありませんが、一度お話を伺うことは可能ですので、直接その方からご連絡いただけますと幸いです。
 また、既にご存じかもしれませんが、外国人未払い補填事業(事務)に取り組んでいる自治体があります。自治体によって異なりますが、難民の方に対しても、外国人未払い補填事業(事務)が活用できる場合がありますので、各自治体にお問い合わせいただけますと幸いです。東京都福祉保健財団のHPによれば、「外国人未払医療費補てん事務は、外国人未払医療費に係る医療機関の負担の軽減を図るとともに、外国人の不慮の傷病に対応する緊急的な医療の確保に資することを目的としています」とあります。詳細は下記のHPをご確認ください。
https://www.fukushizaidan.jp/501gaikoku/


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