文字サイズ

特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

会員になるには

その他の地域

その他の地域2020/06/12

【街の灯トーク#1】難民としてコロナ禍の日本に暮らす①


難民としてコロナ禍の日本に暮らす

ゲスト:新島彩子さん(難民支援協会)/ 聞き手:枝木美香(アーユス仏教国際協力ネットワーク)
とき:2020年6月3日(水)

枝木:こんばんは。本日は街の灯トーク第1回、司会と聞き手はアーユスの枝木が務めます。約1時間、おつきあいのほどお願いいたします。
 このトークは、アーユスの『街の灯』支援事業特別枠でご協力する団体の方に、毎週1人ずつお話を伺うものです。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響は、世界各地の多くの人に及んでいますが、その中でも既に支援が必要であった人たちや、注目されずにきた課題に取り組んでいる活動は、さらに追い詰められています。『街の灯』支援事業は、そういう光が当たらない人たちや課題に取り組んでいる活動を支えるもので、アーユスの予算に加えて多くの方々からのご寄付により、現在6事業を応援しています。
 今夜はその中でも、日本に逃れて来た難民の方々に対する支援活動に取り組んでいる難民支援協会から、難民の方がどのような状況に置かれているのか、それにどう支援をしているのかをゆっくりお話し伺いたいと思います。
 今夜のスピーカーをご紹介します。難民支援協会の新島彩子さんです。日本に来ている難民の方々に協力を行なっている、そのなかでも相談業務を最前線で行っている新島さんに繋いでいます。

避難せざるを得ない人たち ─── 難民

新島:みなさま、こんばんは。難民支援協会というNPOで、難民一人ひとりへの支援を担当しております、新島と申します。よろしくお願いいたします。私にとっても今回、このようなオンラインセミナーで登壇するのは初めてのことで、たいへん緊張しています。しかも、『街の灯』トークの第一回を仰せつかって、アーユスの皆さんに私たちの活動にご支援いただいたことに感謝いたします。ありがとうございます。

枝木:まず、ひとことに難民といっても、どういう人たちを難民とよぶのかもわからない方もおられると思うので、難民というのがどういう方々か、というところから簡単にご説明いただければと思うのですが。

新島:わかりました。まず難民の話に入る前に、今回のコロナウィルスのことで、私自身も私たちが暮らすこの社会にいろいろな課題がある、いろいろな問題があることを知ることになりました。日本だけではなくて、世界中の人たちが何らかの影響を受けているなかで、差別が助長されたりしているとも聞きますが、そのなかでもより困難を抱えている人たちに心を配ったり、何らかの行動をとったりすることの大切さを私自身にも問われていると思いました。このようなときだからこそ、そのような立場の方々にいかに寄り添えるかが、社会の強さをあらわすことになるんじゃないかなと考えていたときに、アーユスさんの助成のお話があって、しかも「光が当たっていない人たちにやわらかい光を当てる」という言葉もすてきだし、コンセプトとしてもとても素晴らしいなと思った次第です。

枝木:ありがとうございます。

新島:まず、難民とはどういう人たちのことなのかということからお話しします。みなさん、こちらの2名の方、ご存じの方多いと思うのですが。

枝木:アインシュタインとハリルホジッチさんですね。

新島:はい、これから難民の話をするというのだから皆さんおわかりとは思いますが、お二方とも難民だったんですね。アインシュタインはドイツ生まれですが、ユダヤ人であるということで迫害を受けました。また、ハリルホジッチさんはサッカーの指導者でしたが、ボスニア・ヘルツェゴビナの出身。1990年代にヨーロッパで最悪の紛争と言われたボスニア・ヘルツェゴビナ紛争が勃発したとき、すでにサッカーチームの監督として顔が知られていることを使って銃撃戦に割って入って止めようとしました。しかし戦争を止めようと訴えたことが民族主義者から反感を買って脅迫を受けるようになって、フランスに移住、脱出したという経緯のある方です。
 日本語で難民というと、まさに「難しい民」、困難を抱えた民というネガティブなイメージを与えられてしまうと思うのですが、英語ではRefugeeといってRefuge=避難するという意味なので、本国から余儀なく避難せざるをえなかった人、というのがまずは大きな定義になります。
 そのなかでも、難民を一文で説明すると、「紛争から人権侵害から命を守るために母国を離れざるを得なかった人、離れて逃れてきた人」のことを言います。
 それで、どの時点の人たちを難民ととらえるか、おそらくその方の考え方によっても違うと思うのですが、私は母国で問題があって逃れざるをえなくて逃げた瞬間から ─日本では認められなかったとしても─ 難民であることには変わらないと思っています。


60万円集まれば、もうひとつ、コロナ禍で光が当たらない人たちや課題に取り組む活動に協力することができます。ご協力宜しくお願い申しあげます。