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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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国際協力の現場から

国際協力の現場から2020/02/25

市民社会スペースの危機とG20外務大臣会合への政策提言


 

近年、世界中で市民が自由に言論し、表現し、集会し、結社する活動領域である市民社会スペースが圧迫を受ける事態が広がっています。昨夏、あいちトリエンナーレ2019で起きた作品展示中止事件はその現実をまざまざと見せてくれました。名古屋NGOセンターに集うNGOはじめ東海地域の市民社会はこうした状況に危機感を募らせています。

一方、2015年に国連が定めた持続可能な開発目標(SDGs)を旗印として、市民、企業、行政のセクターを超えた協働によってさまざまな課題の解決を目指す取り組みが進んでいます。SDGsの達成には市民の自由な活動と、企業や行政との対話や意思決定への参画が不可欠です。政策対話や市民の参画、公的機関の公開性と透明性を示しているのがSDGsゴール16です。

また、ゴール16は市民活動の基盤として、基本的自由と情報公開、法の支配と法制度の重要性を指摘しています。このことは目標の達成には市民社会スペースの確保が不可欠であることを表しています。ゴール16はSDGs の1から15までの目標を効果的に達成するための政策環境に関わる包括的、横断的な目標であるといえます。

 

SDGsゴール16と市民社会スペースに関する二つの取り組み

名古屋NGOセンターは2019年秋、SDGsゴール16と市民社会スペースに関する二つの取り組みを行いました。一つは東海市民社会ネットワークはじめ3団体と協力して開催した「民主主義の危機は世界共通の課題~市民社会スペース縮減の時代からSDGsゴール16達成に向けて~」というシンポジウムです。市民社会スペースについてSDGsゴール16を軸に考えようという企画で、名古屋で開催されるG20外相会合に対する政策提言の意図がありました。シンポジウムの最後には東海市民社会ネットワークの名前で、SDGsゴール16を軸に市民社会スペース縮減の課題に取り組むことを宣言した声明を採択しました。

もう一つは、名古屋で開催されるG20外務大臣会合に対する政策提言そのものです。同会合ではSDGsが議題の一つとなっていることから、上記シンポジウムで示された市民社会スペースへの危機意識と解決を目指す東海地域の市民社会の意思を、日本政府及びG20諸国に示すことを目的としました。

 

G20外相会合を前に外務省に提言書を手渡す

提言書ではまず、あいちトリエンナーレ2019の事件に言及して、市民社会スペースへの攻撃に対する危機感を示しました。次に、SDGsの17の目標のうち市民社会スペースに関連しているのはゴール16であり、ゴール16はSDGsの達成のために不可欠の、優先的に扱うべき目標であることを指摘し、市民社会スペースの重要性とゴール16に関わる4項目の提言を行いました。G20諸国は市民社会スペースの縮小によってSDGsの達成が妨げられることを認識すること、市民社会スペースの保護と拡大に資する法制度の整備に尽力すること、G20外相会合のSDGsに関する議論においてゴール16を優先課題とすること、議長国である日本政府は平和と公正、法の支配、基本的人権の実現をSDGs達成の前提とするよう議論をリードすることの4項目です。

G20外相会合に対する政策提言の取り組みには名古屋NGOセンター加盟の不戦へのネットワーク、東海市民社会ネットワーク加盟のチベット友の会も参加し、外相会合前日の11月21日、3団体が揃って外務省の担当者に提言書を直接手渡すに至りました(以下写真)。

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こうして2019年秋は、東海地域の市民社会が市民社会スペース縮小の課題にSDGsゴール16を軸として関わる姿勢を明らかにした季節となりました。

3団体の提言書は名古屋NGOセンターのウェブサイトに掲載されています。ご一読ください。http://nangoc.org/information/g20.php

名古屋NGOセンター政策提言委員 西井和裕