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国際協力の現場から

国際協力の現場から2015/03/05

AAN:バングラデシュでラジオ体操!


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バングラデシュでラジオ体操!

 AANは2年前からバングラデシュの生活習慣病対策に取り組んでいます。生活習慣病にならないように、バランスの良い食習慣や運動習慣を形成してもらう取り組みです。もっとも難しいのは、運動習慣の形成です。人前で話をすることは得意なベンガル人スタッフですが、運動を教えるのは苦手意識が強いよう。できることなら避けて通りたいスタッフがほとんどで、参加者を集める以前に、AAN内部の問題で体操プログラムの開始が見送られていました。

 紆余曲折を経て、保健専門家の榛澤完さんは学校のラジオ体操の実施を思い立ちました。日本もラジオ体操ブームでたくさんのおしゃれなテキストが売られていますが、いずれも演技者の服装の露出度が高く、適切な教材が見当たりません。そこで榛澤さんはまず「バングラデシュの校長先生が気に入ってくれそうな映像」をネットから探し出しました。それは日本の小学生がきちんと整列をしてラジオ体操をやっている映像でした。バングラ歴20年の榛澤さんの読みはあたり、教師たちに受け入れられ、ラジオ体操とみんなの体操の指導を開始できることになりました。初めは一つの地域の小・中学校で、榛澤さんが継続的に直接指導し、徐々に他の学校にも広げていく作戦を取りました。

 私たちは当初、日本文化の象徴のようなラジオ体操を現地で普及することに、少なからず抵抗を感じていました。できれば「バングラ版みんなの体操」を作りたかったのですが、日本のラジオ体操の完成度はずば抜けています。片手間で替わりを作れるものではありません。
 実施にあたっては学校側も深慮し、制服を着、女子はスカーフで髪を隠し、きちんと整列するなど工夫しました。マスゲーム風に仕上げたことで、制約の強いイスラムの農村社会を刺激せずに、運動指導が開始できたようです。ベンガル語訳の解説も吹き込んだことで、かなり現地の風景に溶け込んでいますよね?

 特に熱心に取り組んでいるのが女子生徒たち。屋外での行動が制限される年齢に達した彼女たちが、どんな気持ちで運動に取り組み、どんな気持ちと行動の変化を起こしつつあるのか、とても興味があります。ここでの運動経験が彼女たちの生涯の宝となることを、そして、彼女たちが母親や周囲の大人たちに伝えていってくれることを願ってやみません。(報告者 石山民子)